生活保護について
生活保護について

社会保障の最後のセーフティーネット(安全網)が、公的扶助である生活保護です。 生活保護は、生活に困窮する国民に対して国がその責任において、必要な保護を行うことによって、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としています。

基本原則は、法律の定める要件を満たす限り、無差別平等に保護を受けることができるということです。すべての国民に生活保護を請求する権利があることを明らかにした原則です。保護申請が明確な理由なく却下された場合には、都道府県知事に対して審査請求をすることができ、その採決に不服があれば、訴訟を提起することもできます。

生活保護法で保障する最低限度の生活は健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないという最低生活保障の原則があります。

問題はその水準ですが、現在の生活扶助基準は水準均衡方式がとられ、一般勤労世帯の消費支出の7割の水準とされています。

生活扶助を含む生活保護の基準は毎年厚生労働大臣が告示の形で決めています。また、生活に困窮する者が利用できる資産、能力、その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用し、それでも最低生活を維持できない場合に保護を受けるという原則があります。扶養義務者による扶養、および、ほかの法律に定める扶助は、すべて生活保護法による保護に優先しておこなわれます。

生活保護の申請があった場合には、資産調査や扶養紹介がおこなわれます。資産では土地や家屋が問題となりますが、これらは売却して生活費に充てるのが原則ですが、最低生活の維持に必要な場合には保有が認められます。また、生活保護費を原資とする預貯金が資産に当たるかどうかも問題となりますが、「保護金品等を原資として預金されたものは収入認定の対象とする資産に当たらない」という判例があります。(中嶋学資保険訴訟)

また、働く意志と能力をそなえていても、働く場がなければ生活保護の受給が可能で、働いて収入があっても、最低生活費に届かなければ、その差額が保護費として支給されます。

さらに、扶養紹介は、保護申請者の扶養保護者に対してなされますが、扶養義務者に十分な扶養能力がなければ扶養を拒むことができます。

また、要保護者が急迫の状態にある場合には、申請を待たずに職権で保護を開始することができます。

保護の種類には次の8種類があります。

日常生活費を支給する生活扶助
学用品費などを支給する教育扶助
家賃などを支給する住宅扶助
医療を給付する医療扶助
介護保険法に規定する介護サービスを給付する介護扶助
分娩の介助などを支給する出産扶助
技能の習得費などを支給する生業扶助
葬式にかかる費用を支給する葬祭扶助
医療扶助と介護扶助は、現物給付で、それ以外は現金給付が原則です。

それぞれ、単給、併給ができ、医療扶助が受給者、額とも一番多くなっています。

また、障害者加算、母子加算など、各種の加算がもうけられています。

保護は自宅、居宅での保護が原則ですが、これが難しい場合は施設保護も認められています。保護の実施機関は、福祉事務所で、福祉事務所のケースワーカーが生活保護受給者に対する生活指導などの現業業務をおこないます。

生活保護費用の負担は、国が4分の3、自治体が4分の1行うことになっています。