自立支援による各制度の手続き
自立支援による各制度の手続き

介護給付、訓練等給付と補装具、自立支援医療の申請から給付までのおおまかな流れのそれぞれについて説明します。

(1)事前にどんなサービスを希望するか検討して申請

市区町村の障害者福祉の窓口か、市区町村が委託している相談支援センターに自分がどのようなサービスを利用したいかを申し出て、それが自立支援法によるサービスならば「利用申請書」に必要事項を記入して市区町村の窓口に申請します。代理者による申請も可能です。

申請時には介護給付、訓練等給付のうちどのサービスか聞かれます。申請の前にサービス内容や種類、負担額、手続き、事業や施設の情報などを市区町村の窓口に問い合わせ、どんなサービスを利用するか検討しておくことが大切です。

介護給付の決定には医師の「意見書」が必要になりますので、主治医がいる場合はその医療機関を伝えます。また、利用料の減免を希望する場合は、あらかじめ市区町村に問い合わせ、必要書類をそろえておくことも大事です。

(2)聞き取り調査

市町村は、聞き取り調査のために認定調査員を派遣します。一般的には役所のケースワーカーや保健師など、障害のある人たちにかかわる仕事を担当している職員が担当しますが、市区町村が地域生活支援センターなどの相談支援事業者に委託した場合は、そこの相談員等が訪問します。

認定調査は、身体障害、知的障害、精神障害の3障害について、共通の調査項目に基づいて行われます。調査項目は106項目あります。各項目について、「できる・できない・一部介助・全介助」、「ない・ときどきある・ある」などの選択肢が準備されています。家族の介護を前提とするのではなく、本人が一人で、「できるか」、「できないか」ということを基準に答えてください。

認定調査員は106項目だけで把握しきれない本人の状況を「特記事項」に書きます。この特記事項に書かれていることが、障害程度区分を決めるうえではかなり重要になります。

日常のくらしのなかでの不自由さや問題点を具体的に伝え、特記事項に書いてもらうことが必要です。

また、その他の調査項目として「概況調査」があり、障害種別・等級、利用しているサービスの種類と量、就労の経験や希望、介護者の状況、居住の状況などについて調査員が聞き取って記入します。

調査では日常の状況を正確に伝えることが大切なので次の点に留意しましょう。

厚生労働省は聞き取りの方法や考え方について、文書を公表しています。「障害程度区分認定調査員マニュアル」などに読みやすくまとまっていますので、これらのマニュアルを参考にして、あらかじめ調査内容などを調べておきます。事前に信頼できる医療機関や関係者などの協力を得て、質問の意味などを勉強しておきましょう。

訪問調査には介護を必要とする人の日ごろの様子を知っている家族や介護をしている人が立ち会い、実態にあった調査をしてもらうようにします。

介護を受けている人は「できるだけ自分でできるようにしたい」と思っていますので、「○○ができますか」の質問に「がんばってできるようにしています」などと答えがちです。それでは「できる」と判定され、実態にあった障害程度区分になりません。

介護給付は一次判定と二次判定があります。聞き取り調査の結果がコンピュータに入力されて自動的に障害程度区分の一次判定が出されます。障害程度区分は6段階に分かれていて、軽いほうから区分1、区分2となり区分6が最重度です。なお、支援の度合いが極めて低い場合は、障害程度区分の「非該当」という判定になります。

訓練等給付は一次判定のあとサービス利用の意向の聞き取りになりますが、介護給付では、二次判定があります。二次判定は一次判定結果と医師の診断書、概況調査で記入された特記事項に基づいて、市町村審査会が行います。

医師の診断書等で介護に要する時間を延長・短縮すべきであると判断される場合、区分が変更されます。

(3)障害程度区分に不服のときは

市区町村が決定した障害程度区分の結果に納得できないときは、都道府県が設置する「障害者介護給付等不服審査会」に審査請求できます。

審査請求のできる期間は決定を知ったときから60日以内です。

(4)サービス利用の聞き取り

市区町村は決定した障害程度区分判定の通知を出し、その後、申請者(本人、家族)にどのサービスを受けたいかという意向を聞くことになっています。

このことは、サービス利用計画をつくるために大切なことですから、利用したい事業所名や自分にとってどんな支援が必要なのか、考えていることを正しく伝えましょう。

(5)介護給付の支給決定

支給決定はサービス利用の意向聴取の後、市区町村の支給決定基準などをもとに検討されます。支給決定に際しては、市区町村は必要に応じて市区町村審査会に意見を求めます。

支給決定者には支給決定通知書や障害福祉サービス受給者証(あるいは却下決定通知書)などが交付されます。これらの通知は申請者に直接送付されます。

(6)訓練等給付の暫定支給決定と支給決定

訓練等給付の場合は、まず本人の希望を尊重し、暫定的支給決定を行います。この期間中に事業者は、申請を行った障害者の「個別支援計画案」を作成し、訓練効果が見込まれるかどうかを判断します。訓練効果があがると判断されれば支給決定につながります。訓練効果が見込めない場合は、受けるサービスの見直しや、別の事業者での再評価などが求められます。

「サービス利用計画」が策定されると、定期的にアセスメント(評価・査定)やモニタリング(調査監視)が行われます。

(7)事業者と福祉サービスの利用契約を結ぶ

利用負担額や通所施設での給食の有無とその料金、入所施設での個室費などの費用負担や受けるサービスの内容などについては、重要事項として事業者から説明されます。

また、契約相手が社会福祉法人減免を行う事業者で、減免を受けることを希望する場合は、契約時に減免の申し込みを行います。サービスの提供が開始されると、毎月事業者に利用料負担金を支払います。

補装具の購入・修理を希望する人は、市区町村に費用支給の申請を行います。申請を受けた市区町村は、更生相談所等の意見をもとに、補装具費の支給を行うことが適切であるかどうかを判断し、交付する場合は種目と金額を示した費用支給決定を行います。

支給決定を受けた障害者(申請者)は、事業者と契約を結び、事業者から補装具購入や修理のサービス提供を受けます。