自立支援医療に、育成医療、更生医療、精神通院医療を統合しました。
障害者医療費公費負担は、それぞれ身体障害者福祉法に基づく「更生医療」、児童福祉法に基づく「育成医療」、精神保健福祉法に基づく「精神通院医療費公費負担制度と、各個別の法律で規定されていましたが、これらを一元化した新しい制度「自立支援医療」に統合されました。
対象者は今までの制度に準じていますが、市区町村民税(所得割) 23万5千円以上の人は高額治療継続者(「重度かつ継続」)という条件に該当しないと、この制度が受けられないという所得制限が設けられました。
①更生医療
身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該身体障害者に対して行われる、更生のために必要な医療に係る医療費を支給します。
対象となる障害は次のとおりです。
視覚障害によるもの、聴覚、平衡機能の障害によるもの、音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害によるもの、肢体不自由によるもの、心臓、腎臓、肝臓、または小腸の機能の障害によるもの(日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるものに限る)、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害によるもの(日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるものに限る)。
対象となる医療は当該障害に対して確実な治療の効果が期待できるものです。眼科、耳鼻咽喉科、口腔、整形外科、形成外科、中枢神経、脳神経外科、心臓脈管外科、心臓移植、腎臓、腎移植、小腸、歯科矯正、免疫のそれぞれに関する医療と、これらの医療に係る調剤及び訪問看護です。
2010年(平成22年)4月から肝臓の機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る)も対象になりました。
内臓の機能の障害によるものについては、手術により障害が補われ、または障害の程度が軽減することが見込まれるものに限るとし、いわゆる内科的治療のみは除きます。腎臓機能障害に対する人工透析療法、腎移植術後の抗免疫療法、小腸機能障害に対する中心静脈栄養法及び心臓機能障害に対する心臓移植術後の抗免疫療法については、それらにともなう医療についても対象となります。
②育成医療
身体に障害のある児童の健全な育成を図るため、当該児童に対して、生活の能力を得るために必要な医療に係る医療費を支給します。
対象者は、18歳未満の児童で、身体に障害を有する人、またはこれを放置すると将来障害を残すと認められる人で、手術等によって障害の改善が見込まれる人です。
対象となる障害や病気は次のとおりです。
肢体不自由、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語。そしゃく機能障害、心臓機能障害、肝臓機能障害、腎臓機能障害、小腸機能障害、その他の先天性内臓障害、免疫機能障害。
③精神通院医療 精神障害の適正な医療の普及を図るため、精神障害者に対して、当該精神障害者が病院または診療所に通院して行われる精神障害の医療に係る医療費を支給します。 対象者は、通院による治療を継続的に必要とする程度の状態の精神障害(てんかんを含む)を有する人。
対象となる医療は精神障害及び当該精神障害の治療に関連して生じた病態や当該精神障害の症状に起因して生じた病態に対して通院して、行われる医療です。精神通院医療の対象となるか否かは、症例ごとに医学的見地から行われます。
精神障害者の入院医療費は自立支援医療とは別に公費負担
知的障害者福祉法や精神保健福祉法による入院の医療費の公費負担制度があります。なお、精神障害のなかにはアルコール依存症も含まれます。
精神障害者の入院は、都道府県知事による「措置入院」と、家族の同意があれば患者本人の同意がなくても入院できる「医療保護入院」の他に、患者本人の同意によって入院する「任意入院」があります。
「措置入院」の医療費は、所得税額150 万円を超える人は一律2万円となり、所得税額150万円以下は自己負担はありません。その他は、通常の医療費負担となります。